いきなりですが、犬と暮らすみなさん……誤まった知識を身につけていませんか?
私は元トリマーなのですが、お会いした飼い主さんの中には「えっ?」と驚いてしまう人が何人かいました。
今回は私が実際に会ったことのある飼い主さんの驚きエピソードを3つご紹介します。
犬と正しく暮らせていますか?
「犬を飼っている人は犬の知識があって当然」と思う人も多いかと思います。
しかし、残念ながら犬と暮らしていても、誤まった知識を身につけている飼い主さんも少なからずいます。
でも、それは必ずしも「愛犬を大切にしていない」と言うわけではありません。
反対に「愛犬を大切にしすぎて、“犬”という概念がなくなってしまっている」というケースもあるのです。
これからご紹介する飼い主さんも、決して愛犬を大切にしていない人たちではありません。
しかし、その行為は場合によっては犬にケガをさせたり命の危険にさらしたりもする、とても危険なことでした。
犬は家族同然の大切な存在です。
だからこそ、人間とは違う面なども含めて正しい知識を身につけて暮らしていくことが重要なんですね。
トリマー時代に驚いた飼い主さん
では早速、私がトリマー時代に出会った「驚いた飼い主さん」を紹介していきます。
初めに断っておきますが、私は決してその方々を責めるわけではありません。
でも、犬と暮らす以上はきちんとした知識を身につけてほしいというのが私の願いです。
どうかこの記事を読んでくださっている人や周囲の人が、こうして間違った知識を身につけてしまうことのないように祈っています……!
1:爪を切らなくていいと思っている
ある日、私が働くペットサロンにシーズーの子がやってきました。
常連さんではなく初めてのお客さんで、耳掃除などのお手入れをご希望でした。
足元も長毛だったので初めは何も気づきませんでしたが、爪切りをしようと足を持ち上げて驚愕……。
爪がものすごい伸びていて、「肉球に刺さらなかったのが奇跡」と言えるほどの状態です。
犬の爪は、爪と同時に中の神経や血管のある層も徐々に伸びてきます。
なので、あまりに長くなると爪切りをした際に神経などを傷つけてしまうのです。
何より、爪が伸びたままでは肉球に刺さってしまい危険ですしね。
爪切りなどのお手入れが終わって飼い主さまに「爪がかなり伸びていましたが……」とお話しました。
すると飼い主さまからは驚きの一言。
外をお散歩していればアスファルトで爪が削れるので、切らなくても大丈夫だと思っていたそうです。
確かにある程度は削れますが、爪切り不要とまではいきません。
トリミングの際に爪切りもセットでしているのですが、その事実もご存じなかったようでした。
ワンちゃん……かなり歩きづらかったと思います。
ケガをする前で本当に良かったですが、爪はきちんとこまめに切りましょう!
ペットサロンや動物病院で、爪切りのみも受け付けていますよ!
2:狂犬病ワクチンが義務だと知らない
犬を飼う際、飼い主が必ず行わなければならないことが2つあります。
- 市町村に犬の登録をする
- 狂犬病ワクチンの接種
このどちらも、狂犬病予防法により義務付けられたもので犬を飼う際には絶対に必要なことです。
しかし、近年ではこうした法律や義務のことを知らない飼い主が多いのも事実。
私は元トリマーですが、動物病院で働いていた際には診察補助に入ることもありました。
その際、狂犬病ワクチンが済んでいないことを先生に指摘されると「受けないでいいです」と答える飼い主さんも。
「義務なので必ず受けなければいけないんですよ」と先生が言うと「そうなんですか?」と驚いていらっしゃいました。
先人たちの努力によって日本ではあまり見かけなくなった狂犬病。
しかし、海外ではいまだに多数の症例もあり、決して過去の病気ではありません。
それに狂犬病は、発症すると100%死に至る恐ろしい病気です。
愛犬や周囲の人たちを守るためにも、狂犬病ワクチンは絶対に接種しましょう。
法律により義務付けられているので、故意に接種しない場合は検挙され罰金が科されます!
3:人と同じ食事をさせている
トリマー時代に出会った中でも、とても多かった飼い主さん。
それは、可愛くて大切な家族であるワンちゃんに自分と同じ食事をさせてしまう人です。
気持ちはよくわかるのですが、人間には平気な食べ物でも犬にとっては毒となってしまう食べ物や調味料もたくさんあります。
また、「愛犬の健康のため」と思って水道水ではなくミネラルウォーターをあげているお客さんもトリマー時代にいらっしゃいました。
しかし、じつはそれこそが犬にとっては不健康になってしまうことも……。
と言うのも、ミネラルウォーターにはマグネシウムやミネラル成分が含まれていますよね。
こうした成分は犬の体内でうまく分解されず「結石」となってしまうこともあるのです。
絶対にあげてはいけない訳ではなくても、積もり積もって犬の負担になる食材もあります。
大切な家族であっても「犬」と「人間」を混同しないようにしましょう。