犬との暮らし

罰金の可能性もあり!犬を飼ったら必ずしてほしい飼い主の義務

みなさんは「狂犬病」という病気を知っていますか?
「昔、犬の間で流行った伝染病でしょ?」という声も聞こえてきそうですが……大間違いです!
狂犬病を正しく知って予防することは、「犬の飼い主の最大の義務」と言っても過言ではありません。
今回は、狂犬病についてと犬を飼ったら必ずしてほしい「飼い主の義務」についてお話します。

筆者
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この記事は、ペットケアアドバイザーが執筆しています!筆者プロフィール


狂犬病とは?

写真提供:写真のフリー素材サイト photo AC

※ 写真はイメージです。実際に狂犬病に罹患した犬ではありません。

「狂犬病」というワードは知っていても、詳しいことまでは知らない人も多いでしょう。
ネットで調べてみても難しい言葉が多いし、読む気がなくなってしまいますよね。
ここでは、できるだけわかりやすく、簡単にご説明していきます!

狂犬病とはどんな病気?

狂犬病は、発症した犬に咬まれたり舐められたりすると、犬の唾液中のウイルスが傷口などから体内に侵入し移る感染症です。
空中飛沫を通じて感染することもありますが、この感染経路はごくまれと言われています。

犬が発症すると、陰鬱状態や睡眠障害から始まり、やがて自分に触れるものすべてを噛み付くほどの狂気状態に陥ります。
それがどんなに大好きだった飼い主であっても、何もわからず噛み付いてしまうのです。
そして、水を極度に怖がるので水分補給もできずに、呼吸困難などの症状が現れ……目を覆ってしまいたくなるほどの悲惨な状態が3日ほど続きます。
やがて、痩せ衰えて歩くこともできなくなり、脱水症状の末に死に至ります。

筆者は、動物関連の専門学校に通っていた頃、授業で狂犬病にかかった犬の動画を見たことがあります。
それはもう「看取る」なんてできないくらいに酷い状態で、大きなショックを受けました。
「これがもし自分のペットに起こってしまったら……」と考えると、苦しくて仕方がなかったです。

狂犬病に感染し発症すると致死率は100%と言われており、医学が発達した今の世の中でも完治することのできない恐ろしい病気なのです。



狂犬病にかかるのは犬だけではない

病名に「犬」がついているので「犬だけの病気」と勘違いされやすいのですが、狂犬病は決して犬のみが感染する病気ではありません。

2019年の終わり頃から2022年現在も新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっていますが、狂犬病も新型コロナウイルスと同じ「人獣共通感染症」です。
つまり、狂犬病は犬だけではなく、猫やウサギ、その他の家畜、それに人間も……温血動物ならば感染してしまう病気なんです。
そして、犬以外の動物や人間の場合でも、致死率が100%だということには変わりありません。

日本の狂犬病予防法

写真提供:写真のフリー素材サイト photo AC

これまでにお話してきたように、狂犬病は1度発症してしまうと「待つのは死のみ」という恐ろしい病気です。
そのため、日本では狂犬病を撲滅させるために「狂犬病予防法」が制定されています。

狂犬病予防法では、日本国内の全ての飼い犬に対して、年に1度の予防接種が法律で義務付けられています。
これは家庭の犬だけではなく、ペットショップやブリーダーなどの事業者でも同じです。
これに違反すると20万円以下の罰金が科せられます。

しかし、近年では飼い主の打ち忘れや義務化されていることすら知らずに犬を飼い始めるというケースも多く、狂犬病ワクチンの接種率は50%未満だとも言われているのが現状です。

ですが、「バレなきゃいい」とか「打ち忘れたから仕方ない」では済まされません。
これは立派な法律違反ですからね。
2019年には狂犬病予防法違反として、174件が検挙されています。
(参考:警察庁生活安全局 生活経済対策管理官 令和2年における生活経済事犯の検挙状況等について)

狂犬病は過去の病気ではない

先人たちの努力のおかげもあり、日本ではあまり見かけなくなった狂犬病。
ですが、世界各地ではいまだに多数の症例があります。
実際に、2020年には海外で感染した外国籍の男性が日本へ来日後に発症し、その後亡くなりました。
(参考:NIID国立感染症研究所 日本国内で2020年に発生した狂犬病患者の報告)

狂犬病は、決して過去の病気なんかではないのです。

先日、ウクライナの紛争地域から避難してきたペットたちの検疫体制に特例措置がとられました。
しかし、筆者個人の正直な意見としては「大反対」です。
ウクライナは日本のような「狂犬病清浄国」ではなく、いまだに狂犬病が頻繁に発生していますから……。
もし、ウクライナから避難してきたペットが発症し他の動物たちが感染したら、あっという間に狂犬病は拡がるでしょう。
でも、狂犬病の潜伏期間は長い場合だと6ヶ月……すぐに気づくことはできません。
こうなると、自分のペットに危険が及んでいたって到底わからないのです。

しかし、ここであれこれ言っていても仕方がありません!
日本の飼い主は「今できることを徹底してやるのみ」です。
私たち飼い主は、どのようなことに取り組めばいいのでしょう?



犬を飼う際に必ずしてほしいこと

ここからは、愛犬や周囲の人たち、そして自分自身を守るために「犬を飼ったら必ずしてほしいこと」についてお話していきます。
もうすでに行なっている人が大多数だとは思いますが、おさらい程度に見ていただけると幸いです!

1:市町村への「犬の登録」を済ませる

写真提供:写真のフリー素材サイト photo AC

まず一つ目は、お住まいの市町村への「犬の登録」です。
簡単にいうと、犬の戸籍を作ってあげる作業ですね!

こちらも先ほどお話した狂犬病予防法で生後91日以上の犬は登録をする」と義務付けられています。
しかし、実際には「知らなかった」という飼い主が後を絶ちません……。

もし、この記事を読んでいる方で「うちの子、登録してない!」とドキッとされた方。
今すぐにお住まいの市町村の役所で手続きを行なってくださいね。
お咎めなどはない(はず……笑)なので、安心してください!

こうして犬の登録を済ませると犬鑑札が発行されて、毎年春ごろには「狂犬病予防集合注射」のお知らせが届くようになります。

2:年に1度、狂犬病ワクチン接種を行う

写真提供:写真のフリー素材サイト photo AC

犬を飼ったら必ずしてほしいことの2つ目は「狂犬病ワクチンの接種」です。
「してほしいこと」とは書いていますが、先ほどから何度も繰り返しているようにこれは法律で定められた義務なので、正確には「やらなくてはいけないこと」ですね。

筆者が以前、動物病院に勤めていたときの話ですが……
ワンちゃんの飼い主さんが「うちの子は人を噛まないので大丈夫です」と、狂犬病ワクチンを断ろうとしていたことがありました。
もちろん、先生が飼い主さんにしっかりお話して、最終的にはちゃんと接種されていましたよ……。

くどいようですが、狂犬病予防のワクチン接種は義務です!
これを守れないのならば、犬を飼う資格はありません。

そして、「混合ワクチンに狂犬病ワクチンも入っている」と思い込んでいる飼い主さんも時々見かけます。
しかし、狂犬病ワクチンと混合ワクチンは別物ですのでご注意くださいね。

集団接種と個別接種、どちらでも大丈夫!

犬の登録を済ませることで、春ごろに「狂犬病予防集合注射」のお知らせが届きます。
(現在は新型コロナウイルスの影響で、集団接種を行なっている自治体は少ないようです!)

しかし、他のワンちゃんが苦手な子や、飼い主さんでも人が集まる場所が苦手という人もいますよね。

安心してください!
狂犬病の予防接種は集団接種ではなくても、かかりつけの動物病院で個別に接種することもできますよ。
個別で受ける場合であっても、役所から届いた集合注射のお知らせを持参するように言われることもあります。
まずは、かかりつけの動物病院に確認してみてくださいね。

「もう期間を過ぎている」という場合でも対応してもらえますし、もし故意ではなく「打ち忘れた」のならば法律違反の罰金も科せられません。
ですが、そのまま放置すればもちろん罰金の対象となりますから、早めにワクチンを打つようにしましょう!



飼い主の義務を果たしましょう

写真提供:写真のフリー素材サイト photo AC

少々熱くなってしまった部分もありますが、犬を飼ったら必ずしてほしいことについてお話しました。

犬ってすごく可愛いですよね!!
でも、どんなに可愛くてもぬいぐるみではないので、飼い主にはもちろん「責任と義務」が伴います。
恐ろしい狂犬病を防ぐことも、私たち飼い主の大切な義務です。
もう一度しっかり心に留めておきましょう。

 

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松永由美
ペットロスカウンセラー・ペットケアアドバイザー。 ペットとの暮らしサポーターRapport Ciel代表、当サイト《しっぽと暮らし》運営者です。 愛犬の死がきっかけでトリマーからペットロスカウンセラーに転身。 動物関連資格を多数保有しており、現在はペットロスカウンセリングを行う傍ら、動物ライターとしても活動しています。 もっと見る