「シニア」と聞くと人間でも犬でも「痩せほそる」イメージを持つ人も多いかもしれません。
しかし、実際には犬はシニア期こそ肥満に注意しなくてはいけないのです!
今回は動物介護士資格も持つ筆者が、愛犬の長生きのために気をつけたい肥満予防のポイントについて、ご紹介します。
シニア期はなぜ太りやすい?
痩せていくイメージもあるシニア期ですが、じつは多くの犬がシニア期に入ってから太ってしまいます。
では、なぜシニア犬は太りやすいのでしょう?
まずはシニア犬が肥満になりやすい理由について、お話します。
代謝が落ちる
これは犬だけではなく人間でも同じことですが、年齢を重ねると「代謝」はどんどん落ちていきます。
そもそも代謝とは何なのかというと、簡単に言えば「体の中でエネルギーを作る仕組み」のことです。
犬でも人でも、食べたものは生きていくためのエネルギーとして変換されます。
なので、若いうちは代謝によって食べたもの(カロリー)の多くはエネルギーに作り替えられるので、太りづらいのです。
しかし、シニア期に入ると代謝機能だけではなく消化機能も低下します。
体に必要なエネルギーも8割近く減少してしまうので、食事を若い頃のままに与えてしまうと「エネルギーに変えられなかった分」が脂肪として犬の体に蓄積してしまうのです。
運動量が減る
シニア期に入ると、足腰が弱ってくるので、散歩などの運動量も徐々に減っていきますよね。
家の中を元気に走り回っていた犬でも、シニア期に入ってからはおとなしくなったという家庭も多いのではないでしょうか。
こうしてシニア犬の運動量が減ってしまうことは自然なことです。
しかし、人間でも運動をしないと太ってしまうように、犬でも運動量が減ると肥満につながりやすくなります。
中には「若い頃からおとなしい子で散歩以外の運動はほとんどしていない」というワンちゃんもいるかもしれません。
しかし、先ほどお話したようにシニア期に入ると代謝は落ちています。
運動量に差がなかったとしても、体の中の状態はこれまでとは全く違うのです。
犬の肥満で起こる危険
では、犬が太ってしまうとどのような危険があるのでしょうか?
ここからは「肥満が原因で起こりやすいこと」について、お話していきます。
心臓に負担がかかる
私たち生き物の心臓は、全身に血液を送るポンプのような働きをしています。
なので、太っていれば太っている分、心臓はたくさん動いて全身に血液を巡らせようと頑張ってくれるのです。
でも、当然のことながら、動き続けていれば疲れてしまいますよね。
これは心臓でも同じことなのです。
心臓が疲れてしまうと老化も早まってしまいます。
そうすると、どうなるか……。みなさんわかりますよね?
犬だって生き物ですから、もちろんいつかはお別れの時が来ます。
しかし、少しでもその日を遅らせるためにも、心臓には余計な負荷をかけずに元気でいてもらう必要があるのです。
足腰に負担がかかりやすくなる
犬だけではなく人間や別の動物でもそうですが、足や腰は体全体を支えている大切な部位ですよね。
しかし、肥満になってしまって体重が重くなってしまうと、足や腰の骨はその重さに耐えにくくなってしまいます。
こうして足や腰に大きな負担がかかってしまうと、関節炎や椎間板ヘルニアのリスクも高くなります。
ただでさえ椎間板ヘルニアは、シニア犬では加齢が原因で陥りやすい病気とも言われていますから、肥満を防いでリスクを下げてあげることが大切です。
糖尿病などのリスクが上がる
人間でも「肥満が生活習慣病の原因に」という話はよく聞きますが、これは犬でも同じです。
- 糖質や炭水化物を多く含んでいるフードやおやつを長期間与えていた
- 運動が足りていないので犬の体内に血糖が蓄積されたまま
このような状態が長く続いてしまうことで、糖尿病につながってしまうケースは多いです。
糖尿病になってしまうと、治療は一生涯続くことがほとんどです。
重度に陥ってしまった場合では亡くなってしまうこともあるので、飼い主は早いうちから注意して予防していかなくてはいけません。
では、具体的にシニア犬の飼い主はどのようなことに気をつけていけばいいのでしょう?
シニア期の肥満予防のためにできること
シニア期に限らず、犬の肥満にどのような危険が潜んでいるのか、お分かりいただけたかと思います。
でも、代謝も落ちて運動量も減ったシニア犬は、どのように肥満を防いでいったらいいのでしょう?
ここからは、シニア期に入った犬の肥満予防のためにできることについてご紹介します。
1:適度な運動を
犬の肥満予防には運動が大切です。
しかし、シニア期に入った犬に無理に運動をさせると、かえって体に負担をかけてしまうこともあるので注意が必要です。
犬が取り組みやすい運動といえば「散歩」ですが、シニア期であれば1回10分程度でOK!
時間を減らす代わりに、可能であれば回数を増やして調節してみましょう。
散歩の前には、家の中を軽く歩かせる準備運動も忘れずに行なってくださいね。
ただし、「犬の体調を見ながら行う」というのが大前提です。
無理のない範囲内で、適度に運動させていきましょう。
また、シニア犬は首回りの骨も弱くなってきているので、リードを首輪につなげるのはおすすめできません。
散歩の際には、このような胴輪(ハーネス)にリードをつなげるようにしてくださいね。
2:シニア用の食事に切り替える
シニア期に入った犬であっても食欲はそのまま……という子も多いかと思います。
しかし、食欲や歯の丈夫さが健在だからといって、今まで通りのフードを与えてしまうと太ってしまう危険が大です!
先ほどもお話したように、シニア期に入ると代謝が落ちます。
つまり、これまでのように高いカロリーを摂り続けると、エネルギーに変換されずに脂肪に変換される栄養の方が多くなってしまうのです。
シニア用として販売されているフードは、食べやすいだけではなく消化しやすくカロリーコントロールもしやすいように作られています。
運動量が減ってくるシニア犬にとって「正しい食事が肥満予防の要」と言っても過言ではありません。
もしも愛犬が若い時のままの食いつきであっても、食事の内容を見直すことが重要です。
また、ご飯だけではなく、おやつのあげすぎにも注意してくださいね。
美味しいのにカロリー控えめ!シニア犬のためのイギリス産ドッグフード『ピッコロ』
3:便秘解消のマッサージもおすすめ
シニア期に入ると消化機能も衰えていくので、便秘などの症状を引き起こしてしまう子も珍しくはありません。
便秘は直接肥満につながるわけではないのですが、多くの病気につながってしまうことがあるので放っておくのは危険です。
5日以上もうんちが出ない場合には、かかりつけの動物病院へ連れていくようにしましょう。
まだ緊急性がないようであれば、おうちでマッサージして排便を促してあげるのもおすすめです。
シニア犬への便秘解消マッサージ
- 愛犬を仰向けに寝かせる
- おへその近くに手を優しく置く
- おへそを中心にして、円を描くように時計回りに数回撫でる
とても簡単なので試して欲しいのですが、うんちを出してあげたいからと言って強く押してしまうのはNGです!
優しく、できる範囲で行ってみてくださいね。
長生きのためにもシニア犬の肥満予防を
シニア犬には、過度なダイエットはかえって危険です。
しかし、肥満によって寿命が縮んでしまうことも、飼い主としては避けたいですよね。
シニア犬の肥満予防は、些細なことではあっても「日頃の積み重ね」が大切となります。
愛犬と1日でも長く過ごせるように、今回お話した適度な運動やカロリーコントロールを行うようにしてみてくださいね。