ペットロス

立ち直る方法はない…?ペットロスを受け入れるまでのプロセス

ペットロスに陥ると「このつらさは一体いつまで続くのだろう」と不安になりますよね。
立ち直る方法なんてないのではないか……。どのくらいの期間で立ち直ることができるのだろう?
そんなふうに思う飼い主さんも多いでしょう。
今回は、「ペットロスから立ち直るまでのプロセス」について詳しくお話します。

筆者
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この記事は、現役のペットロスカウンセラーが執筆しています!筆者プロフィール


ペットロスから立ち直る方法は?

写真提供:フリー素材ぱくたそ

ペットロスはとてもつらいですから、「早く立ち直りたい」と思う人がほとんどでしょう。
筆者自身もペットロス経験者ですが、当時はよく「ペットロスから立ち直る方法」について検索していました。
そして、ペットロスカウンセラーになった今でも、多くの飼い主さまから「ペットロスから立ち直るにはどうしたらいいの?」と聞かれます。

しかし、これには明確な答えはありません。
ペットロスから立ち直る期間は人それぞれですし、立ち直るまでにどう行動したかも人それぞれです。
ですから、「これをすればペットロスから立ち直るよ」と一概に言うことはできません。

しかし、だからと言って「ペットロスに陥った人はこの先もずっと苦しむ」というわけではありません。安心してくださいね。
多くの場合で、ペットロスから立ち直るのに通っていく「段階」というものがあります。



ペットロスには「段階」がある

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ここからは、ペットロスと紐づけられることの多い「悲しみの段階説」についてお話していきます。

「悲しみの段階説」とは、ペットロスに限らずに「人が身近な存在の“死”を受容していくまでの過程」を表したものです。
これまでに多くの精神科医や学者がこうした「悲しみから立ち直るまでの過程」について研究を重ねてきました。

この記事では、その中からアメリカの精神科医であるエリザベス・キューブラー・ロスという人が初めて提唱したと言われている「悲しみの5段階」について解説していきます。

悲しみの5段階

1:否認・孤立

大切なペットを失って、まず初めに訪れるのが「否認・孤立」と呼ばれるこの段階です。

「ペット」と言っても、単なる愛玩動物ではなく大切な家族として育ててきた人が多いかと思います。
そんな大切な家族が旅立ったこと、頭では理解していても心がついていきません。
「こんなの信じられない」「あの子の死を受け入れたくない」と、“ペットの死”という出来事を拒否してしまうのです。

「これはきっと何かの間違いだ」とほんの少しの希望を持ち、周囲との温度差から孤立してしまうこともあります。

筆者も、数年前に愛犬を亡くしました。
この段階ではやはり心が追いつかずに「きっと寝ているだけなのかもしれない、そのうち目を覚ますかも…」と思っていました。
冷たくなった亡骸に「早く起きて」と話しかけながら、ずっと撫でていたこと……昨日のことのように思い出します。

2:怒り

第一段階が過ぎ去ると、次に「怒り」と呼ばれる段階がやってきます。

「どうしてうちの子が死ななきゃいけないの?」と怒りが込み上げてきて、「私が何かしたのかもしれない」「あの子が死んだのは私のせいだ」と徐々に自分を責めてしまうようにもなります。
さらに、怒りの矛先は自分だけにはとどまらず、一緒に暮らしていた家族・担当した獣医師や動物看護師・友人など……さまざまな周囲の人へと向けられることも珍しくはありません。

筆者もやはり愛犬が亡くなったのは自分のせいだという自責の念がありましたし、夫や子ども、さらには無関係の友人にまで怒りを抱いていました。
こうしてさまざまな人に対して怒りの感情を持ってしまうことにも、また「自分はなんてひどい人間なのだろう」と思ってしまう飼い主さんもいるでしょう。
しかし、これは仕方のないことですから、今はあまり思いつめないでくださいね。



3:取引・交渉

そして、次に「取引・交渉」と言われる段階へと進んでいきます。

この段階では少しずつ「ペットの死」という事実を受け止め始めるのですが、それでも「これは夢なのかもしれない」という気持ちが離れません。
「奇跡が起こってあの子が帰ってきますように」とか「何でもするからあの子を返して!」と、見えない存在にすがってお願いすることが増える時期です

4:抑うつ・落胆

そして、さらに段階が進むと「抑うつ・落胆」と言われる第4段階が訪れます。

どんなに願ってもペットが戻ってこないのだと理解し、ひどく落胆してしまう時期。
「自分は無力だ」と、自分が元気になることさえも拒んでしまいます。
集中力もなく何に対してもやる気が起きず、「自分も死んでしまいたい」と思ってしまうようになることも珍しくはありません。

筆者も、この段階ではいつもスマホで「死んだ愛犬に会う方法」などと検索をして、後を追うことばかりを考えていました。

ペットロス経験者、そしてペットロスカウンセラーとして、この時期が一番つらい時期なのではないかとも思います。
実際に私のもとにご相談くださる方も、この段階の方がほとんどです。
しかし、ここまで来たらもう少しの辛抱です。
焦らずにゆっくりと向き合っていきましょう。

5:受容・回復

つらかった段階を乗り越えたら、いよいよ最後の「受容・回復」の段階がやってきます。

「時間が解決してくれる」という言葉もあるように、ペットロスでも時間が経つにつれて「ペットとの別れ」を受け入れられるようになるのです。
完全に悲しみが晴れたわけではなくても、少しずつ笑顔で過ごせる日々が増えていきます。

乱れがちだった日常生活も徐々に今までのように戻っていき、「あの子がお空で元気に過ごせますように」とペットの供養にも前向きに取り組んでいけるようになります。



ペットロスから立ち直るのに重要なこと

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ペットロスでの悲しみの5段階をお話しました。
みなさんに当てはまる部分はあったでしょうか?

ただ、ここで覚えておいて欲しいのは「段階はあくまでも目安」だということです。
スムーズに5段階を進んでいく人もいれば、第4段階からまた第3段階に戻ったり、または第2段階を飛ばしていったり……など、進み方は人それぞれです。
ですから、もしも解説した通りに進んでいかなくても心配する必要はありませんよ。

それでも、不安になってしまう飼い主さんもきっと多いですよね。
そんなみなさんに「ペットロスから立ち直るのに重要なこと」についてお話します。

焦らずに今の感情を受け止めよう

ペットロスに陥ると、ペットの元気だった姿さえも思い出すのが怖くなってしまう飼い主さんも多いかと思います。
筆者自身もそうでした。これからのことも考えたくないし、愛犬が元気だった時の楽しかった思い出すら、頭の中に思い返すのが怖かったのです。
後にも戻れず前にも進めず……その場にポツンと自分だけが取り残されたような感覚。
とても怖いし不安で、焦ってしまいますよね。

だけど、ペットロスを重症化させないためには「焦らずにゆっくり今の感情と向き合うこと」が大切です。

きっとペットロスに陥った多くの方が、今は「悲しい」「苦しい」といった感情に包まれているのではないでしょうか。
こうした感情は一見「悪いこと」のように思ってしまいがちです。
でも、悲しみも苦しみも私たちが生きていく中では切っても切り離せない、大切な感情なんです。

「早く立ち直らなきゃ」なんて考えずに、自分自身のありのままの感情を大切に受け止めてくださいね。



悲しいのは自然なこと、たくさん泣こう

大切な家族であるペットを亡くして泣いていると、周囲の人から「泣かないで」と声をかけられることもあるでしょう。
これは、周りの人の優しさから来る言葉です。

でも、泣いてもいいんですよ。

筆者自身も悲しみにふたをしようとしていた時期がありました。
愛犬を亡くした当時、子どもたちがまだ小さかったので「母親である私がずっと泣いていては悪影響だ」なんて考えてしまっていたんですよね。

しかし、今ならはっきり言えます。
大人だって泣きたい時には泣いていいし、弱音だって吐いてもいい。
悲しみを心のうちに閉じ込めておいたところで、それは何の解決にもなりません。

ペットが旅立って悲しいのはごく自然なことなのだから、泣きたいのなら我慢せずにたくさん泣いてください。
大人だから、母親だから、男だから、仕事で偉い立場にいるから……そんなの関係ありませんよ、誰だって泣いてもいいんです。

涙は天国へ旅立ったペットを思っているからこそ出てくるものですよね。
それなら、無理に我慢する必要はないのではないでしょうか。
こぼれ落ちる涙は愛情が溢れ出しているのだと思って、たくさん泣きましょう。

悲しむ時間を大切にしてくださいね。

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ABOUT ME
松永由美
ペットロスカウンセラー・ペットケアアドバイザー。 ペットとの暮らしサポーターRapport Ciel代表、当サイト《しっぽと暮らし》運営者です。 愛犬の死がきっかけでトリマーからペットロスカウンセラーに転身。 動物関連資格を多数保有しており、現在はペットロスカウンセリングを行う傍ら、動物ライターとしても活動しています。 もっと見る